デザイナーやサインメーカーの皆さんから、「今までは設計の段階で木の看板を考えていなかった」「依頼があっても断っていた」とよく耳にする。木の看板についての情報不足やトータルメーカーの少ないことによるものではないかと思う。
木の看板、とりわけ銘木などで作ったものは、老舗・繁盛・信頼・自信・厚遇などを見る人に感じさせると言われている。さらに近年、和のブームであるとか、ニーズの多様化、本物志向の傾向のせいか、当社や素材を提供する銘木店でも、木の看板の企画・製作の数が、徐々に増えてきている。
素材、加工など特殊な伝統的技術に負うところも依然として大きいが、加工技術など飛躍的に発達しつつある。木を新しい素材と捉えて取り組むならば、現代にマッチした優れたデザインのものが制作され、需要を呼び起こすであろう。
現に、制作に従事したいという人も多くなってきている。若い斬新な感覚が、この伝統ある木の看板に挑戦するならば、現代に生きる伝統文化として話題も呼ぶことであろう。そして、流通性が高まることにより、素材や加工などの情報が増え、さらなる秀作が制作されることになる。木の看板のコンクールなどが持たれるところである。そして、サイン関係者に素材としての木を敬遠されることなく、積極的に企画されることを期待してやまない。
(株式会社総合報道POP EYE NO.104より)